消えたsilence

何処かで声がした気がして… 気のせいだとは既に分かっている 
この耳が覚えている とても側で誰より聞き慣れた声を 

もうすぐ息も白くなる 初めて会った頃の季節になる 
今年も冷えるらしい 雪が舞えば肌へと降りて来て溶ける 

黄昏は何度でも訪れる ただし同じ物は二度とない 
二人で寄り添いながら見た光が 今は影を作っている 

言葉何一つないままで 抱き締め合ったあの静かな時間 
それは瞬間の永遠を 知り得る為のただ一つの手立て 

君はもう居ない 消えたsilence 


最近、鍵は持ち歩く 部屋には自分だけが入ればいい 
スペアを渡すまでは ドアの前でしばらく待たせたりもした 

離れても思い出は変わらない きっと忘れても思い出す 
あんなに信じて温めた気持ちは いつの間にか変わったのに 

言葉何一つないままで 確かめ合ったあの静かな時間 
そして大切な一言を 伝えるまでに紡いでいく想い 

君はもう居ない 消えたsilence 


強くもう逃がさない様に 力を込めたこの両腕は今 
部屋に満ちている切なさを 感じてまたも取り戻そうとする… 

ほんの片隅に 愛しさを残し 
幻の様に 消えたsilence