最初で最後の願い事。-Near the Christmas to Valentine's Day-

ここ数日は決まって座る この駐車場の車止め 
部屋は電波が入らないから ここじゃないと話せない 
いつかかって来ても繋がる様に 身を小さくして震えつつ 
膝を上着で温めながら 白い息をひたすら漏らした 

あの日俯いて頷いた 控えめな君と 
それに全力で喜んだ僕って 何だったのかな… 

聞いた事のない弱気な声で君は 『少し離れたい』そう僕に告げた 
『好きになれなくてそんな自分が嫌い』 言葉返せないしばらくの無言 

電話の向こうの君を感じた 


自分の事を自分で決めて 遣り抜く努力を惜しまない 
無理が祟って時にへこんで そんなトコに惹かれてた 
でもこれからは二人になって 話し合えるって思ってた 
なのにあの日に始まったのは 二人じゃなく僕だけだったの? 

同じ空の下、違う場所 ここで叫んでも 
たかが数駅の距離に居る君には 何も届かない 

「今はそれでいい これから好きになって」「傷付けてもいい 好きだから待てる」 
「一度離れたら 戻って来ないでしょう?」 言葉並べても相槌はなくて 

『私を嫌いになってください』 


暗く寒い真夜中はまるで深海みたいで 星は地上の光に見える 
それじゃさながら僕は人魚 想い破れて泡になりたい 涙は海の味がした 


もっとわがままで困らせて欲しかった ただの一回がこれなんてないよ 
君を救う手が他には見付からない だから僕からのお願いも聞いて 

「嫌いになるまで好きで居させて…」