或る花と蝶の間柄

白い花の下、動かなくなった蝶を見付けた 
貴方にはもう不要 羽を譲ってくださいな 

背中をまさぐる私 貴方は途中で息絶えた 
良かった 悲鳴を聞かずに済んだ 

ひらひら自由に飛び回る 切りなく男が待っている 
白から紅へと染まりゆく 綺麗な花には棘がある 

貴方をバラして微笑んだ 


夜の闇の中、皆が愛と呼ぶ蜜を探した 
体なら捧げます だから心をくださいな 

吐息を漏らした私 男は夢中で息乱す 
離れて 煙草の煙は嫌い 

ひらひら自由に飛び回る 誘えば男がついて来る 
言葉も理屈も使わない 愚かに勝手に騙される 

今更素顔はバラせない 


若さを失う私 男も楽には靡かない 
手遅れ 時間は女を殺す 

今ではすっかり持て余し 美し過ぎたる蝶の羽 
醜い私に似合わない 新たな虚しさ知っただけ 

今度は私がバラされる 


そうして名付けた紅い花…