いつか眠りにつく前に

窓の外を走る子供達
はしゃぐ声が少し耳に痛くて

目を閉じて鮮明に見えてくる
まだ今もあるのか分からないあの風景

茜雲に溶ける蝉しぐれ
隠れ家のある空き地 靴がまた泥だらけ
全身を使って生きていた
疲れても構わない 約束の六時までは帰らない


望んでいた通りの姿に
続く道は何処にあったのだろう

置き去りにしてきてしまったもの
本当は自分で諦めてしまったもの

上り坂を越えた曲がり角 
ブランコからの眺め わざと踏む水溜まり
広すぎて小さい世界地図
向かい風になっても 自転車を強く漕いで逆らった


伸ばしても手は届かない 随分と時間が流れた


午後の晴れた空に絆されて
珍しく窓を開けて 春を吸い込む様に
誰もみな最期が訪れる
その時が来る前に 始まりだった場所へと いつかまた

思いは募り募る