Gato Carente

道を横切れば
公園までもうすぐ
いつも座ってる
あの人が今日もいる

お気に入りの噴水の
近くで贅沢シエスタ
浅い眠りへ落ちていく


邪魔はしないでね 一人が好きなの
撫でてくれたって 無駄 嫌なものは嫌なの


街が静まって
瞳孔が開く夜
月に見付かって
路地裏へと隠れる

男達は飽きもせず
女を巡って揉め合う
冷めた横目で擦り抜ける


可愛がられても
自由は捨てたくない
好きに振る舞って
居心地の良い場所へ

明日の天気と同じで
気持ちも先読み出来ない
その日暮らしがいいの

道を横切れば
公園までもうすぐ
いつも座ってた
あの人はもういない

お気に入りの噴水も
夏までしばらくお預け
冬が景色を変えていく


尾と耳を立て 何処かの貴方を思う
少し寂しい 私は気紛れだから
「此処にいるよ」と 小さく声を漏らした
そして誰にも 届かず消える鳴き声