新宿浸り(夜の部)

魅惑の夜の街、新宿 お越しあそばせ手の鳴るほうへ 


今朝も帰りの電車は混雑 入れ違いに世間での通勤 
私を蔑む様な視線も 最近ではほぼないに等しい 
部屋に戻れば着替えもそこそこ ただ寝床に倒れ込み溜め息 
疲労を気休め程に和らげ 夕方には起き出して入浴しよう 

誰を待つ訳でもなく 其処にあり続ける街の営み 
呼び声になって聞こえる喧騒 無論、単に気のせい 

色とりどりのネオンに 照らされて化粧も映える 
店に向かうまでの道すがら 私の中の「女」が目覚める 
もう何年も昔に 憧れて出て来た都会 
今は慣れた上で生きている 無くした物も忘れて生きている 


部屋を再び出るのもそろそろ 取り敢えずは軽食を詰め込む 
度々に味わう事もしないで 空腹さえ満たせれば不都合はない 

時を待つ訳でもなく 胸に秘め続ける過去の生き甲斐 
今更に無下に出来ない感情 多分、夢の抜け殻 

人それぞれが愚欲に 火照されて誘いに嵌まる 
店に迎え入れる為になら 私の中の「恥辱」は殺せる 
もう何年も昔に 憧れて出て来た都会 
今は慣れた上で生きている 無くした物も忘れて生きている 


過ぎ行くタクシーは 乗客を求めて走る 
ヘッドライトが闇を裂く 


色とりどりのネオンに 照らされて化粧も映える 
店に向かうまでの道すがら 私の中の「女」が目覚める 
もう何年も昔に 憧れて出て来た都会 
今は慣れた上で生きている 無くした物も忘れて生きている 

生きている…、生きている…。 


魅惑の夜の街、新宿 お越しあそばせ手の鳴るほうへ