囚心ランダムエスケープ

線路を潜った 地下道を抜けて
痛い程に瞳に刺さる太陽
横目に流した 似た様な群れと
いつか誰かが描いたSpray Art

有刺鉄線の 向こうの静けさ
あの場所なら自由が見付かるだろう

埃塗れの壁を超えたら
息を切らしても 何処までも走る
心に秘めた 飾りのナイフ
擦り切れた靴底で足音を響かせて


まだ見ないものに憧れ続けて
既に見えている目の前を見逃す
遠くの声さえ煩わしいから
聞こえない振りをして耳を塞いだ

ヘッドライトに少し怯えて
振り返りながら 闇夜へと逃げる
渇いた喉と ざらつく素肌
確かに在るのはただ欲望だけ

荒れた地面を蹴り付けながら
この次は右なのか、それとも左なのか

行き先は今もまだ分からぬまま
足掻いても、もしや迷路か箱庭?